インタビュー

若者支援団体インタビュー記事 ー環境設計、情報発信、「支援感」ー


「『声なき声』プロジェクト」では、2018年5月末から全国の若者支援団体を対象に、支援を積極的に届けるための工夫と支援につながりにくい対象者についてのアンケート・インタビュー調査を行いました。

現場で活動する支援者は、どのような問題意識を持っていて、どのような工夫をしているのでしょうか?
今回は、2つの団体へのインタビューの抜粋を一部ご紹介します。

支援現場での今後の参考になったり、若者支援に関する理解を深める機会になれば幸いです。

 

目次

ー環境が人の心理に与える影響:支援機関に行きやすくするには?

ー誰に何を届けたいか考え、広報ツールを使い分ける

ー趣味のつながりは社会資源になりうるか?

ー編集後記:調査結果から示唆される「支援感」への心理的抵抗

 

環境が人の心理に与える影響

就労・スキルアップ・生活等を支援する団体Aのお話

ーーなぜ若者は既存の行政機関に行きづらいのでしょうか?

実際に行政機関に行くと分かるのですが、行政機関は暗い雰囲気のビルに入っている窓口もあります。
そこを利用することが、何となく病気じゃないのに病気になっていく感覚があるというか。
病気ではないし、悪いことをしているわけではないのに、罪悪感のような感覚を持つ方もいます。

なので、そういった心理的なハードルを越えられるほどすでに困っている、切羽詰まっている方であれば行政機関に行けますが、難しいと感じる方がうちのような民間サービスを利用される印象です。

支援機関に行くこと自体がかっこいいと思われる文化ではないので、そうなるのも当然だと思いますね。

逆に、図書館なんかは誰でも行きやすい公共施設だと思います。
不登校でも、周りからは勉強している学生のように見えます。「この人は仕事していない」とか「学校行かずに道端にいる」みたいに周囲から見られないので、罪悪感や負い目を感じないんですよね。

海外だと、図書館の中に行政の窓口があったりするので、そういう場があるのが望ましいのかなとも思います。

 

誰に何を届けたいか考えて、広報ツールを使い分ける

子育て支援団体Bのお話

私たちは親御さんたちへの情報発信をネットを中心に行っていて、広報ツールを使い分けています。
親御さんごとにキャラが違いますし、普段使うツールも違います。
使い分けとしては、LINEで普段のやり取りをしたり、SMSで行政の手続きのリマインド、メールで各種お知らせを送るといった形ですね。

また私たちは居場所活動も行っていて、居場所に来てもらうために場所の開放と定期的なイベントの開催を行っています。
facebookやブログで、普段の様子やイベントの様子を発信して、興味を持った親御さんに信頼してもらう、安心して来られるようなブランディングを行っています。

情報を届けることと、私たちの活動に来てもらうことの2点を意識していて、届けるためにはツールの使い分けが、来てもらうためには信頼感や安心感が非常に重要だと考えています。

 

このような考え方のベースは、メディア関係者・広告関係者など多様なバックグラウンドを持ったスタッフ・ボランティアから来ています。情報を届ける重要性を意識しているメンバーが多いですね。

また、情報発信の際に「支援」という言葉はできるだけ避けています。特に、私たちが関わる親御さんの前では使わないですね。

例えば、美容室が「残念な髪形をかっこよくします」と言ってもお客さんは来ませんよね。それと同じで、私たちが親御さんを支援するというのはあくまでこちら側の都合です。

「届ける必要がある人に情報を届ける」ことを意識しています。

 

趣味のつながりは社会資源になりうるか?

私たちのもとに子育ての悩みの相談に来てくださる方の中には、趣味友達経由の方もいらっしゃいます。

特にマンガ、アニメ、ゲーム関係のつながりが多いですね。一般的に社会的なつながりと言うと、家庭、仕事、友達などのコミュニティが中心かと思います。
しかし、こういったサブカルチャーのよるつながりは、コミュニティがなくても1対1で人と人をつなぐことがあります。

例えば、今までSNSでしかやり取りがなかった同じ趣味を持っている人同士が初めて直接会って、そこから私たちの団体を見つけてくれることがあります。
どちらかが生活で困りごとを抱えている親御さんで、その人のためにもう一人が社会資源を探してあげるような形ですね。

お互い初対面であっても、同じ趣味を持っている方同士が、困っていたらお互いを助けるような関係性もできるということです。

このような社会的なつながりも重要だと考えています。

 

編集後記:調査結果から示唆される「支援感」への心理的抵抗

今回調査でお話を伺った若者支援団体様とのお話の中で、多く出てきた問題意識があります。
それは「支援感」を出すと若者は離れていくというものです。

11月1日の報告会でも取り上げる予定ですが、困っている人に支援が届かない要因として、本人の心理的な抵抗感が影響していると私たちは考えています。

特に、「自分から困っていると言う」「弱みを見せて相談する」「人から支援や『施し』を受ける」ことは、信頼している相手以外にはとてもハードルが高い行為です。
また困っている若者が、そもそも大人を含む周りとのコミュニケーションでの傷つき体験が多ければ、信頼すること自体が難しくなることも考えられます。

このように、「支援」に心理的な抵抗感を抱える方に対して、「あなたを支援します」というメッセージで相談を促すことは難しいと私たちは考えています。
この記事で取り上げた2団体も、「いかに『支援』の雰囲気を和らげるか」を課題としていて、物理的な環境の工夫や、情報発信の工夫を行っています。

「支援に見えない支援」が福祉へのアクセスを改善する一つの要素になりえるかもしれません。
これからも引き続き、調査や事業化によって問題の深堀を進めてまいります。


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